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The Gathering of Tribes Pow Wow / Juneau  Alaska, the United State





船の中での時間も残すところあと数時間となった


部屋の明かりは全て消され 乗客は短い休息をとっている


そんな中 この船での出来事を思い出しながら食堂でゆっくり紅茶を飲んでいた




すると突然後ろから日本語で声を掛けられた




"日本人の方ですか?"




その声に振り返ると 後ろの席にやや大柄なネイティブの男性が座っていた



日本人は自分以外誰もいない船の中で 突然聞こえてきたこの言葉に非常に驚いたのだが

彼は学生時代に日本語のコースを受けていたらしく多少日本語が話せるとのことだった




彼とはずいぶんいろんな話をした



彼の家族のこと いままでの旅のこと そして日本人の友達のこと



特に面白かったのが彼が学んだ日本語のコースのこと



そんな言葉や文章は普通日本では使わないよ というものをかなり学んだらしい


まるでどこかの国の語学教育のようで思わず可笑しくなってしまった



ちなみに自分が日本人であるとすぐに分かったのは髪型を見たからということだった


いろいろな見分け方があるようだ




こんなやりとりが続いたのち 彼とは次の朝ともに行動することとなった










まもなく船はJuneau 郊外の港に着き 彼の車に乗り早朝のドライブへと出かけた



まず最初に朝食をとるためにレストランへと向かう


そのお店に来るお客は たいてい顔なじみばかりのようで

"あら 珍しいお客さんを連れてきたのね"と声を掛けられ席に付いた


初めて食べるこちらのスタイルの朝食に内心ドキドキしながら料理がくるのを待っていた



そして初めて今回来たこのお店で なぜかとても落ち着くのが不思議であった



それもそのはずである



テーブルの端に置かれているのは砂糖、塩、ソースに醤油...


醤油?


日本でよく見るこの瓶を興味深く眺めているとこう書かれていた



"製造元  XXX株式会社  千葉県銚子市..."



だれがどう見ても日本の醤油である




周りを見渡してもネイティブの人しかいないこのお店にて不思議な感覚を味わったのは言うまでもなかった




注文した料理はなかなかやってこない


気を利かせてくれた彼はここに来る途中で買った地元の地方紙をどうぞと僕に手渡した


ぱらぱらと読み進めていくと地元のイベント情報が載っている項目があった


"The Gathering of Tribes POW-WOW 2001 at National Guard Armory"



この記事を見たことが今回の旅の最大の出来事につながるとは この時思っても見なかった




そして今後何度かとることとなるこのスタイルの朝食を食べ 誰もいない早朝の Juneau の 街を車で廻った後

郊外にある Mendenhall Glacier へと向かった






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生まれて初めて氷河を間近で見た




"蒼く光る氷の壁  眠い身体を呼び覚ますような冷たい風"




今回の旅で初めてアラスカに来たと実感したのはこの場所だった


目の前の自然の芸術を見て感動しているのを遠くから不思議そうな顔をして彼が眺めていた




この風景が当たり前のものと感じられる地元の人達がうらやましく感じる





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再び Juneau の市街地に戻り この日泊まる予定の宿へと向かった


そして彼とはまた後で会おうと約束し一旦ここで別れた



しかし彼とはもう出逢うことはなかった




宿で少し時間を過ごした後 街から少し離れたところにある Mt. Robers に向かう




トラムで簡単に登ることができるということもあり多くの人々が

手軽に味わえるこの自然を思い思いに満喫しているようであった



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そしてすこし良くなったかに見えた天候も徐々に悪くなってきたため

この山を下りることにした









特にすることもなく街を歩いているとある建物の前にたどり着いた


"National Gurad Armory"



そう 今朝見た新聞に載っていた建物であった



中からは何やら太鼓のような音が聞こえてくる


が しかし決して誰も立ち入ってはいけないような所である




その時 建物の周りを見渡すと誰も分からないような所に1枚の張り紙が目に入った




"OPEN TO THE PUBLIC"




その紙に書かれた言葉に思い切って中へ入ることにした




軍の施設であるこの建物の扉を開けると 中は凄まじい熱気にあふれていた





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心の奥深くまで響く太鼓のリズムと歌声



壁に飾られた各部族の紋章







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Raven(ワタリガラス)、Bear(熊)、Eagle(白頭ワシ) etc

それぞれの服装を纏った人々



人々の真剣な眼差し






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この光景を見た瞬間、不思議と背筋に電流が流れたような凄まじい感覚を覚えた



それは彼等と同じように体内に流れるモンゴロイドの血がそうさせたのかもしれない








イベントの最後 全てのプログラムが終わった後 子供達が太鼓のまわりに輪になって座った


今まで人前で演奏をしたことのない子供達が初めて一人ずつ演奏をするらしい



そして子供達による太鼓と唄が始まると遠くから見ていた会場の人達が動き出した



一人、また一人と人々が子供達のまわりに集まりだし

最終的には子供達のまわりを会場中の人達が大きな輪を描くように囲んだ




〜 厳しく、そしてとても暖かい眼差しで 〜




全ての子供達の演奏が終わったとき 周りを囲んでいた人々から大きな拍手が鳴り響いた


子供達はとてもはずかしそうな顔をして下を向いている




そしてこのやりとりが何度か続く中会場を去ることにした



外へ出ると 辺りはようやくやってきた短い暗闇に包まれていた


時刻はまもなく夜の12時になろうとしていた



そしてあまりにも長かった1日がこれでようやく終わりを告げた



人々の 特にネイティブの人々の強い絆と暖かさに触れた長い1日であった



今回踊りを披露してくれた人々はSitka 近郊に住む方々だった



Sitka...



その言葉に 数日前に居たこの街の優しい人々のことがふと思い出された




後で知ったことだがこのイベントは地元向けのものであったため観光客にはアナウンスされていなかったらしい





この場所にたどり着いたのは偶然なのか必然だったのかは今でも分からない


ただ その素晴らしい出逢いに感謝を捧げる




                                           to be continued...




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