Vila_Real




Passport Control / Vila Real de Santo António , Algarve. Portgal





ポルトガル側に入ると 辺りの雰囲気は一転していた



ただ暗く どこまでも寂しい光景




PM8:15



この日はここに泊まり 明日の朝一番の列車でリスボア(リスボン)に向かうことにする



今まで通り 街の中の安宿を探すことにした



船乗り場から川沿いの通りを歩き そこから街の中心と思われる方向に向かう



しかし 安宿らしきものは 全く見あたらない



通りは薄暗く かろうじて数軒のレストランとバールだけが開いているぐらいだった



それでも 街の中をぐるぐる周り 宿を探すがやはり見つからない


とうとう最後は諦めて 川沿いにあった 少し高そうなホテルに入ることにした









PM9:30




部屋は空いているという



料金を尋ねると 人もあまり入っていないようでかなり安くしてくれるという



これ以上宿探しをするつもりはなかったので 部屋も見ずに泊まると決めてしまった





鍵を受け取り 部屋に向かった


しかし そのロビーとホテル内部の雰囲気の違いに圧倒されてしまった




ロビーから上の階に上がると まるで中世のお城の中に迷い込んだような 錯覚を感じた



一面に敷き詰められた 美しい絨毯


部屋に辿り着くまでに 扉を何枚か開けていかないといけない


その途中には 客室ではなく応接間のようなスペースもいくつかあった


きっと部屋から出て くつろげるためにあるのだろう



部屋の中も凄かった


天上は高く 広々としたスペースにベッドが2つ


ベッドカバーといい 部屋の雰囲気といい ここも中世の馨りが漂っていた


ポルトガルの旅のスタートにして 自分にとっては まさに贅沢そのものだった




外観からは 全く想像がつかなかった




泊まる宿も無事見つかったことなので 夕食と明日の列車の時間の確認のために


再び 静寂の流れる街の中心部へと向かった




はっきり言って ポルトガル語も ポルトガルの料理も ここの生活スタイルも全く知らなかった


その場合 直感に頼るのが 一番かもしれない



かろうじて開いているレストランや バールを外から眺めていると


何となく気になる一軒のバールを見つけた


手書きで書いた 定食らしきメニューが入り口の所に貼ってあったからだ



そして 迷わず中に入ってみる



中にはビール片手のおじさん達が テレビ中継に夢中になっていた



テレビを覗くと そこにはポルトガルの英雄 フィーゴの姿が映っていた



サッカー それも Real Madrid の試合の中継だった



店のお母さんが注文を聞いてくる


もちろんポルトガル語だった


分からないので メニューを持ってきてもらう


やはりポルトガル語



そう言うときは 直感に限る



お母さんの反応を見ながら ピンときたメニューを選び 定食にしてもらう


そして 出てきたものは まさに食べたいと思っていた感じのものだった




カボチャのスープと前菜 ブリとひよこ豆を煮込んだメインディッシュ そしてデザートと最後の締めのコーヒー



この日の勘は冴えていた



お母さんがいろいろと説明をしてくれるが よく分からない


でも こちらが満足していると分かってくれたようで  向こうも何だか嬉しそうにしていた





食事をしているのは自分一人だけだった


周りの男達は 相変わらずサッカー観戦に夢中だった



だが そういう自分も 同じく食事をとりながら ビール片手にテレビに夢中になっている




そう  サッカーにおける 自分の英雄の一人がフィーゴだった



残念ながら この日はフィーゴの活躍は見れなかった


でも Real Madrid は勝った



周りの男達と サッカー話がしたかった


でも ここは未知の異国で 彼等にとって自分は未知のガイジン


スペインのように 陽気に話しかけてくる人は ここにはいなかった




試合が終わり テレビ中継が終わったのを見計らって 店を出ることにした



店を出てから 街外れの鉄道駅へ向かう



バールから歩くこと約10分



その駅は ここが終着駅とは思えないほど 本当にちっぽけなものだった




AM7:44 Vila Real de St. António 発 Barreiro 行き普通列車


その終点から フェリーに乗り換えると そこはもう Lisboa の街


それに乗れば 明日のうちに ポルトガルの東の最果てから 西の最果てへと進むことが出来る




この時点で 明日の予定の前半部分は決まった





PM11:30



明日に備え この日はそのままホテルに帰りゆっくり休むことにした




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翌朝 AM7:00



少し早い目に ホテルをチェックアウトした


川岸の通りを歩いていると 対岸のスペインから 太陽が昇ってくる




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スペインの大地とも しばらくお別れ



まだ時間があったので 昨日たどり着いた 船着き場に 再び立ち寄った




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今は廃墟となった かつてのPassport Control  〜 国境 〜



"いつしか この世界から 国境は無くなるのだろうか... "



不思議な気分のまま 一路 街外れの鉄道駅に向かった






AM 7:30  Estação de Vila Real de St. António




駅は相変わらず 静寂に包まれていた


ホームでは 犬たちが静かに列車の出発を待っている



その犬たちに促されるかのように たった2両編成の列車へと乗り込んでいった




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約6時間の鉄道の旅



この日のうちに "海が始まる" あの場所へと 辿り着くことが出来るのだろうか




yubari34



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