Ouarzazate の街にたどり着いたとき すでに辺りは暗闇と化していた
いつもなら その後一人で宿を探すのだが
この日はバスで一緒になったベトナム人の学生と共に行動する事となった
バスで仲間となった他の者たちとは、このバスターミナルで別れ
我々は
Grand taxi に乗り
Ouarzazate の中心地へと向かった
ところで 彼の名前は"ツァーン "といった
大学生と言っても30を過ぎており ある種の落ち着きを感じられる
ひとまず彼が予約したというホテルに立ち寄り
ホテルのお兄さんに 追加の空き部屋が無いかどうか聞いてみると
ちょうど一部屋空いているとのこと
料金も安く部屋の感じもよかったので このホテルに泊まることにした
"
サハラへの玄関口 "
最初この街では サハラへと旅立つ者たちを 一人ただ眺めていようと思っていた
だが実際は大きく異なっていた
ツァーン、そして我々に遅れてやって来た彼のポーランド人の友人、
そして一度はバスターミナルで別れたフランス人の青年
ここでは 主にこの4人で行動することとなる
そしてホテルで出会ったモロッコ人のおじさん "アル "
アルは旅好きのおじさんだった
偶然ホテルの向かいの部屋だった彼とは どういう訳か顔なじみとなり
一緒にお茶を飲みながら よく旅の話をしたものだった
ちょうど彼は北アフリカの旅から家に帰る途中とのこと
エジプトから陸路でリビア、チュニジア、アルジェリアと渡りモロッコへ帰ってきた
他にもいろいろ行きたいけど モロッコ人にはなかなかビザが取れなくて ほとんど行けないらしい
パスポート片手にいろいろ旅の話を語ってくれた
ホテルにいるときは 英語の話せるスタッフ "モハメッド "とおしゃべり
そんな感じで この街では いつも誰かと一緒にいることとなってしまう
みんなで街を散策したりもしたが
一度タクシーをチャーターして 郊外へと足を延ばしてみた
〜 Atlas Corporation Studios 〜
意外にも この街では何本ものハリウッド映画が撮られたという
そのセットが街の郊外に残っていた
テーマパークというより セットをそのまま残したといった感じ
あまり手入れをしていないようで 所々崩れたり 石膏が剥き出しになっていたりと
何ともモロッコらしく 微笑ましい光景を目にすることができる
でも もっとも心が惹かれたのは
ここから見た街の風景
セットを背景に 街を見渡すと まるで火星の大地の上を歩いているかのような
錯覚を感じるには十分な光景だった
〜 Aït Ben Haddou 〜
Ouarzazate から走ること約30km
その美しい村は突然のように姿を現した
だが 遠くからはただの古い村にしか見えなかったこの場所も
近づくとその規模の大きさと迫力に ただ言葉を失った
世界遺産という事が納得できる
村に入ってからは ひたすらその頂上を目指した
歩いても 歩いても その頂へはたどり着かない
村の中を彷徨いながら 30分ほど歩いただろうか
突風の吹き抜ける その頂で
一面の赤茶けた大地が その険しい姿が
ゆっくりと七色の輝きに変化していく その様を 思い残すことなく 見続けることができた
もう一日が 終わろうとしている
〜
この果ての地で見る太陽 〜
今まで見てきた 日の光と これが同じモノとは
到底 考えることすら 出来ずにいた
〜 Kasbah de Tifoultoutte 〜
このカスバについた頃には 辺りは完全に闇のなかだった
映画のロケにも使われたという建物の姿も そして周りの美しい風景も
この暗闇のなかでは 全く認識することが出来ない
でも、その屋上に上ると
静寂のなか 遠く
Ouarzazate の街からの光と 幾千もの星からの光が
同じように 私たちの体に降り注いでいた
それだけでも 十分だった
そろそろ街に戻るとしよう
この旅で サハラへ向うことはなかった
彼等3人はサハラへ向かったにも関わらず...
その時、今はまだ サハラへ向かう時期ではないと思っていたのかもしれない
いつかまた この地を訪れることがあれば
その時こそサハラへと向かうだろう
"
そのトキが イツカ来るのなら "